演奏に対するコンプレックスは音楽家なら大なり小なり必ずあるものです。
私は数えで「つ」が付かなくなった歳の頃から
演奏に対する不安と恐怖が表れ始めました。
先生や親からも
「本番に弱い子」
と、心配されたことも。
(コンプレックス・エピソードはきりがないので語りませんが・・・)
精神面からも、技術面からも色々なアプローチを試みましたが、
課題が大きいことも原因で常に模索中です。
演奏をあきらめない私にとっては一生の課題でしょう。
数年前に出会った(正確には「知った」)のが
アレクサンダーテクニーク 。
アレクサンダーテクニークとは・・・
「心身の不必要な緊張に気づき、それを体から取り除いていくこと」。
一種の心身コントロール法ですが、
主に
脊椎と頭の関係を意識し自然に逆らうことなく身体をコントロールすることを身に着けていく(本来の動きに立ち返る)方法です。
私もまだ初心者ですので、はっきりとした定義を述べるのは難しいのですが・・・
直接の指導を受けることがなかなか出来ず、DVDや書籍で勉強していました。
アレクサンダーテクニークはもとは演技の悩みを持ったアレクサンダーさんが考えたスキルですが指導者は様々なジャンルの方がいらっしゃいます。
私は演奏家としての悩みを理解できる方にお願いしたかったこともあり
講師の先生と出会うまでに長い時間を要してしまいました。
今回はその念願が叶い、密かに心に決めていた先生、
浜松出身のヴォーカリスト・
鈴木重子先生のレッスンを受講できる運びとなりました。
http://suzukishigeko.cocolog-nifty.com/blog/
レッスンは静岡で毎月一回、3時間です(先日は30分近くオーバーして頂きましたが)。
当初は個別レッスン希望の私でしたが、
先生も仰るように、ほかの方のレッスンを見ることも大変勉強になります。
初参加だった私の前に立った重子先生は
「なにか聞きたいことがありますよね」
と、あのどこからともなく湧いてくるような優しいお声えを掛けてくださいました。
それからは文字通り手取り足取り、そしてとにかく話を深く聞いて下さり、
「では、皆さんの前で演奏をしてましょう」
ということになりました。(ピアノがないお部屋だったので、残念ながらエアピアノ・・・。)
先生のみならず、参加者の皆さんにも見て頂き、
今までとは異なる観点の貴重なご意見と沢山の「気付き」を頂きました。
身体的には、脊椎の首のあたりに不必要な力が入ってしまい、
そこが固まることによって手や全身の筋肉への悪影響があるということ。
メンタル的なことに関しては30年近く、自分でも取り組んできた課題でしたので、
内容が既に取り組んで失敗したことがほとんどでした。
「頭では充分理解していても、メンタル的思考は変えられなかった」
と、畏れ多くも呟いてしまった私に重子さんは
「考えることを諦めることも、続けることも全て自分で選択することが出来ます」と仰いました。
重子さんはご存知の通り世界的なヴォーカリストですが、
今まで行ってきた数えきれない演奏会でただの一度も100パーセントの力は出しきれたことはないと話してくださいました。
そして、演奏中にも私と同じくマイナス思考が過ることが幾度どなくあるとも・・・。
それに対する方法や別の思考回路を使った対策も伺いましたが
ここでは書ききれません。
講習会等には、足を運ぶ主義の私ですが、
今回は期待以上に自分の求める充実した内容を得ることが出来ました。
今後、演奏を変えることが出来るのか?
やはり今までの殻を破ることが出来ないのか?
最終的には今後の私次第です。