5月頃に書いた「目の使い方」の記事の中の
「後頭下筋群」の話が途中になっていました・・・
今回はAT(アレクサンダー・テクニーク)トレーニーとして
後頭下筋群
に焦点を当ててまとめてみようと思います。
人間(脊椎動物)は
●視覚
●三半規管(内耳の前庭器官)
●後頭下筋群
●起立反射(抗重力筋)
の全ての機能を使って、バランスを保っています。
このうちの
後頭下筋群は後頭部から首の骨上から1番目と2番目の骨にかけてつながっている4つの筋肉の総称です。
日常生活で常に微調整を行っていて、頭と首を繊細に保つ働きをしているとても重要な部分にあたります。
画像は筋肉 guideさんからお借りしました
アレクサンダーテクニークは自分のやりたいこと「演奏」「望み」のために、不必要な習慣をやめていくという技術ですが、
「頭が繊細に自由に動けて身体全部がついてくる」
という大前提があります。
「頭と首を繊細に動けるように」というのは、
主に後頭下筋群が繊細に動けるようにすることです。
歩き始めたばかりの小さな子供の歩行は、これが自然と出来ていて、不必要な力みは全く見られませんが、
残念ながら年齢とともに不要な固めを作り始めてしまう方がほとんどです。(メンタル的な条件も加わって、この癖が習慣化します)
筋肉には収縮状態を伝えて、脊髄反射を介して姿勢・運動の調整を行うセンサーのような機能があります。
「筋紡錘(きんぼうすい)」と呼ばれるものですが、
後頭下筋群には それが多く含まれているのです。
緊張する舞台やここぞという時に頭と肩の距離をギュッと縮めてしまう動作をしがちですが、
頭を下へ押し下げてこの筋肉群が動けなくなってしまうと
繊細な動きを作り上げる筋紡錘の機能をストップさせてしまう為、
演奏や様々な動きをスムーズに行う事が難しくなってしまうのです。
これを逆に言うと
後頭下筋群が繊細に動けるようになっていれば、
楽な姿勢や動きをするための指令がスムーズに脳に届きます。
その結果、やりたいこと「演奏」「望み」が障害なく行えるのです。
このバランス調整機能を知ったうえで、演奏を習得していくことが「理想とする演奏」への近道と言えます。
お教室では
「頭と首を繊細に動けるように・・・」
のフレーズがピンとこない年齢の子が多いため
「頭を風船のようにふわふわと自由にさせて、それに背骨がついていくように」
と、アレンジしてお伝えしています。