はじめての大ホール 〜舞台裏編〜

ホールとは対照的な真っ暗な下手で自分の順番を粛々と待つ子供たち
1人が舞台に出て行くと、右横の座席につめて・・・
その度に心臓の高鳴りを確かめている様子が分かります。

いよいよ次が演奏!
眩しい照明がもれる袖口で
前の子の演奏する後ろ姿を見つめながら順番を待ちます。

ほとんどの子が泣き言も言わずにジッと舞台を食い入るように見つめていますが
肩には力が入り、脊椎が押しつぶされて本来の長さを失っています。
極度の緊張で押しつぶされた頭と脊椎は脊椎動物の危険から身を守る本能です。
俗に言う肩に力が入っていると言われる状態のその部分に私が手を置くと
子供たちは必要以上に力をいれていた事に自ら気付き
フンワリと緩みます。

番号が呼ばれたところで背中を軽く押して送り出すのですが
どの子もしっかりとした足取りでピアノの前まで歩き
落ち着いて観客の皆さんにお辞儀をします。
リハーサルでは思うようにコントロールできず、
自分の演奏からほど遠くなってしまった子も
本番では落ち着いて弾く事が出来ていることに、
成人とは異なる種類の強さを感じました。


演奏後、最後のご挨拶を済ませこちらに戻る子供たちに、
次の順番を待つ演奏者と私が拍手と笑顔で迎えます。
どの子も安堵と嬉しさの笑顔がこぼれていました。
おそらくこの日一番の表情
この笑顔はおさらい会の準備も疲れも何もかもを吹き飛ばす力を持っています。

そして演奏後は観客として皆の演奏をしっかりと聴いてもらいます。
曲にどのような味付けをしているのか?それぞれの個性を聴く事も勉強ですし
お友達の演奏の良いところを見る習慣を養うのも目的の一つ。

ステージ上の演奏者へのジャッジ・・・
実は自分の演奏時のメンタルに大きく影響を及ぼします。
演奏のマイナス面に目がいく傾向のある演奏者は
自分の演奏も同じようにジャッジされていると感じるからです。
そんな事もあって、今年はお友達への講評を記入してもらいました。

去年まで開催していた2次会は開けませんでしたが
演奏終了後のプレゼント交換だけは残しました。
子供たちの一番?!の楽しみだった様子です。

プレゼントを回すときに私が弾いた「くるみ割り人形」のマーチ
小さな子が弾くには難しい曲ですが
子供達は「右手だけひけるようになったよ!」
と、練習してきてくれました。

目の前で起こる出来事をスポンジのように吸収していく子供達
講師の私が一番幸せな時間をもらえたようです。


はじめての大ホール  〜舞台裏編〜


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